みなさんは「告白」という映画をご覧になりましたか?!
松たか子主演で、衝撃的な事件がちょっと話題になった映画です。
私は映画ではなく原作を読みました。
なぜかと言うと、その原作の書き方が変わっていると訊いたから。
文庫本を買いました。著者は湊かなえさん。
第一章 聖職者
数頁読んで、おやっ?!と思いました。
中学校の女教師が、教室でただひたすら話し続けているのです。
もしや、これはずっと続くのか?!
その通り!!
60頁まで続く第一章、ずっ~と先生の「ひとり語り」なのです。
第二章 殉教者
第三章 慈愛者
第四章 求愛者
第五章 信奉者
第六章 伝道者
と続くのですが、これもすべて、それぞれひとりの語りになっています。
事件に拘った各々がそれぞれの真実を語っているのですが、
一つの出来事に対しても、これだけ人の思いは違うものかと、愕然とします。
例えばA少年とB少年、ひとりは友達が出来たと喜んでいるのに、
ひとりは、ただ友達のふりをして利用しただけだ・・・と言ったり、
女教師は、已む無き事情で、自身の幼い子供を学校に連れてくるに至るも
他者にはそこまでの経緯を知る由も無く、身勝手な行動と誤解されていたり、
それぞれの思いが、どれが正しくてどれが間違っていると言い切れない、
ひとの心の中とはそういうものなんだと、改めて教えられた気がしました。
そして一般的にもいえる事ですが、事件を起こした子の育った環境が
取り沙汰されることがありますが、その環境のせいにするのは
間違っているという事も教えられました。
同じような不幸な育ち方をしていても、真っ直ぐに育つ子もいるのです。
最後に、この作品を映画化した中島哲也監督のインタビューが載っており、
それでまた、はっとさせられた一文がありました。
『本作は全編モノローグで構成されていますから、一見、全員が自分の真情を
吐露しているように見えます。しかし、彼らが真実を話しているという保証
なんかどこにもない。そのあたり、湊さんは決定的なことをまったく書いて
いないんです。
最初は単純に、書かれている言葉をなんとなく信用しながら読んでいましたが、
再読した時に、「あ、この辺りはうそなんじゃないか」とか、「このひとは
ずっと言い訳してるだけだな」などというのが見えてきたんですよ。
そういう風に考え始めると、彼らが語る内容のどこが信用できるのか、
どの辺りは嘘なのかを推理しながら読むことになる。
全員がものすごい勢いで「あの時私はこうだった、どうだった」としゃべって
いるけど、その中には本人がわざと嘘を言ったり、本人すら気づかない嘘が
まじっていることもあるわけです。
深読みしようとすれば、いくらでもできました。深読みしすぎて収拾がつかなく
なったこともありましたが(笑)。』
これを読んだら、また本文を読み返さずにはいられなくなりますよね~!!
それぞれが話している事がすべて真実とは限らない・・・
そんなことを思いながら本を読む・・・という初めての体験をしました。
いつか、この映画がDVD化されたら、どんな風に仕上がっているのか、
愉しみに拝見したいと思っています(^^)v
この異常に暑い夏、涼しい場所で読書や映画鑑賞が得策かも~(^^)