開店当初からのお客様が自宅のお庭に咲いた淡いピンク色の
薔薇を沢山抱えて持って来てれました。
その香りがまたとても柔らかく甘い香りで、
持って来てくれたその人そのもの・・・といった芳香でした。
短く刈られたその蔓薔薇をサラダボールのようなガラスの器に
水に浮かべるように活けて飾りました。
その薔薇の香りと珈琲の香りに包まれながら彼女が話し始めました。
「この間ね、長男が伊勢神宮に参拝に行ったんだって
それでお土産を買って宅急便で送ったからってメールが来てね
何が来るかとたのしみにして待ってたらなんと・・・
檜の表札が送られて来たの(笑)」
何故表札?! と私は思いました。
その私の疑問を勿論彼女はわかっていて、話を続けました。
「それがね・・・長男が小学生の頃に友達が遊びに来て
楽しく遊んで帰った後、玄関の表札が傷ついていることに気付いたの。
どうしてこんな傷がついたんだろう?と思ってたら長男が
お友達のAくんがやったんだって遊びに来ていた友達の名前を
言ったのよ。
そんな悪戯するような子じゃないのにな・・・と思いながら
傷ついた表札はその時から外され、なんとなく新しい表札を取り付けるでもなく
それ以来ずっと我が家には表札が無いままだったの(笑)」
きっと長男くんは、そのことがずっと気にかかっていたんだろうと思われます。
お伊勢さんで偶々見つけた表札に、ずっと心の片隅にあったものを思い出し
実家の玄関にこの表札取り付けて貰いたいと思ったのではないだろうか?
私もそのご長男を幼いころから見知っており、時折ひとりで吹野に
来たりもしていたその子の胸の内、察して余りあるものがありました。
すると彼女が「まだこの話には続きがあるのよ」と言います。
「実はね、あの時表札を傷つけたのはAくんじゃなくて息子だったんだって!!」
話の新たなる展開にまたまたじぇじぇじぇ!!です
その話を知ると、彼の心の中は更に複雑なことになってしまいます。
Aくんに罪を被せてしまったことと、その為に両親がAくんに対して感じたこと
それはすべて自分の小さな嘘から発生したことだということにずっと幼い心を
痛め続けていたのではないだろうか?!
だからといって、真実を明かすタイミングも見つけられず、きっとAくんの顔を
見るたびに、そのことが頭を過り、濡れ衣を着せたままになっていることにも
心を痛めていたのではないだろうか?!
今年は出雲大社の遷宮と伊勢神宮の遷宮が重なる年です。
その遷宮で葺き替えられるお社の屋根の材料となるのが
檜皮(ひわだ)と呼ばれる檜の皮です。
伊勢神宮と出雲大社の屋根が新しくなったと同じ年に
その家の表札も長男くんの粋な計らいで新しくなりました(^^)v
彼の心の中も色んな思いが一掃され清々しくなったのではないでしょうか?!
先日、出雲大社を参拝した折に六十年前の檜皮の一片を戴きました。
御修造により葺き替えられた時の古い檜皮です。
六十年間お社を守り続けた屋根の一部です。
とても貴重なものを戴いたと思い大切にしています。
彼女にもその表札はとても大切なものになるのではないでしょうか
全国的に梅雨入りしましたが、雨は降らず晴天が続いています。
ありがたいことですが、水不足が心配になってきますね。
来週あたりから気温が上がりそうです。
みなさんどうぞお身体大切にお過ごし下さい(^^)
宵の明星(星が大好きくん)
淡いピンク色の薔薇の庭の管理人です。
表札の話「さらに続きがあるのです」。
このプログを見るまで表札を傷つけたのは「息子じゃなくてA君だと思っていました!!」
本当に「じぇじぇじぇ!!です」Aくんごめんなさい。
表札のメールのやりとり
管理人 「桧の表札の香りがとってもいいよ。ありがとう」
長男くん「それはよかった!昔傷つけて怒られたから・・笑」
管理人 「違うよ。よその子(A君)が傷をつけたのであなたを叱った覚えは無いよ」
長男くん「あれそうだったけ?笑」
ということでした。Aくん申し訳ない。
十数年ぶりに、新しい表札が掛っています。
六十年前の檜皮の一片また見せて下さいね。