『手から、手へ』

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今、私の手元に一冊の本がある。

『手から、手へ』

  詩と写真でつづる、あなたにとっていちばん大切なもの

  -家族の物語


詩は 池井正樹さん 1953年香川県生まれ


写真は 植田正治さん 1913年生まれ(2000年没)


そしてこの世代の異なる二人を結び付け
企画構成したのは山本純司さん 


山本氏が珈琲屋吹野へおいで下さったのは五月も終わる頃でした。

レンタル自転車に乗っていらしたことは、その鍵を見て気付きました。

当然地元の方ではないことを察し、どちらから? と尋ねると
東京からこのところ頻繁に山陰へ足を運んでいると仰る。

他にお客様もいらっしゃらなかったので、お蔭でゆっくりお話が出来まして、
植田正治さんのふるさとへ通って来ているのだということが判明しました。

その日は植田正治さんという人が世界に誇れる素晴らしい『写真家』である
ということを私に教えて下さり、山本氏の熱い想いが充分伝わり、
気付けば私も植田ファンにさせられて(?)しまっていました(笑)

会話が弾み、あっという間に時は過ぎ、夕暮れ・・・

レンタル自転車でお帰りになったのですが、亦会える予感があり・・・

翌日その本『手から、手へ』を携え再びご来店下さったのです。

「ちょっと これ 見て戴けますか?!」と差し出されたその本を開くと
一頁ごとに植田正治さんの写真と何とも言えない詩の言葉のひとつひとつが
私の心に優しく暖かくじんわりじんわり広がっていきました。

その詩は13枚の写真とひとつになっていました。

この詩に惚れ込んだ山本氏が植田さんの数多くの写真の中から
それとぴったり逢う写真を探し出しそのふたつを並べてここに
一冊の本が出来上がったのです。

2009年の6月
谷川俊太郎さんの詩の朗読会 その中で出会った池井昌樹さんの詩に
ただならぬものを感じ、詩の調べと断片が体にまとわりついて離れなかった
と、山本さんはその時のことを語っていらっしゃいます。

これは絵本になる!! と感じ、絵は植田正治さんの家族の写真だ!!
と、同時に思われたそうです。

詩を縦糸に、写真を横糸に布を織るように本を作る・・・

生きている時代も生活の場所も、扱う芸術のジャンルも異なるが
時々視線が交わるふたり・・・

お二人の許可を得て2011年10月試作品が出来上がり・・・

そして完成したのは2012年10月

その詩との出会いから3年後・・・です。

この山本氏の想いが詰まった『手から、手へ』


ご来店の際、是非ご覧戴けたらと思います。