尾道より

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開店して1時間ほど経った頃のことでした。
受話器の向こうから「尾道のTですぅ」と云う声。
懐かしいその声に「お久しぶりですぅ」と返す。
ご縁があって近づきになり10数年になるでしょうか・・・

さて、今日はどのような用向きのお電話か?と思っていると
「今、あなたの住む街に来とるんじゃけど、迷子になって
 そこへ行こうと思うとるんじゃけど、どこにおるんか
 分からんようになって、電話したんじゃ(笑)」
と、いつもの広島弁が聞こえて来た。

突然やって来て驚かそうという作戦が失敗となり
さぞ悔しかろうとお察し申し上げる(笑)

いつも突然登場してこちらが驚くのを
面白がって愉しんでいる少年のような中年T氏です。

そういえば、少し前に来てくれた福山のNくんも
道に迷ったと云っていたっけ・・・

珈琲屋吹野はわかりにくい場所にあるのかもしれない。

よく、そちらへ行きたのですが場所を教えてください
という電話がかかって来る。

そんな時私はこう説明している。

高島屋とやよいデパートの間のアーケードを
高島屋を右手に、やよいデパートを左手に歩いて戴き
アーケードを抜けて100メートルほど先の左手です・・・ と

但しこれは歩行者用の説明で、お車の方になると

山陰道を米子南で降り、米子市内の方向へ右折したら
ひたすら真っ直ぐ道なりにお進み戴き右手に消防署が見えたら
その向かい側にあるめがね屋さんの信号を左折して二つ目の交差点
八百屋さんの角を右折するとすぐ右手にあります(^^)v

数分後、無事ご到着(笑)

いつものように広島弁で愉快なお話をして下さり、
ここに来るために一生懸命車を飛ばして来たという
リップサービスも忘れない紳士であります。

珈琲を飲み終えると本当の目的地へ向かわれましたが、
それでも吹野を目的に来たように云って下さる
素敵な人生の先輩です。

もうかれこれ10年位前になるでしょうか・・・
尾道に伺い素晴らしいコレクションを観せて戴いたり
瀬戸内の海の幸を御馳走になったりしたこともありました。

昨日もまた初めてのお客様が来てくださいました。
大学生か専門学校生とお見受けする二人の女の子です。

「本日のセット」を美味しい美味しいを連発しながら
スマホで写真を撮りながらと忙しい!!

お会計をしながら「どちらから?」と問いかけると
「私は島根からで、彼女は岡山から」と教えてくれました。

ネットで吹野を見つけて、気になってわざわざ来てくれたそうです。
嬉しいですね(^^)

スマホの助けがあったからか、彼女たちは場所を問い合わせることなく
すんなり吹野にご到着!! でした。

「ネット」と「スマホ」の時代・・・になりましたね

「運」はたいせつに!!

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米子にも、漸く雨が降りました。
梅雨入りしてから初めてのことでした。
水源が潤うほどではないにしても、
田畑は少し水分補給できたのではないでしょうか?!

「雨が降ると嬉しい!!」
珈琲を飲みながらお客様が言いました。
何故? と問うと
「合羽や長靴がよく売れるから!!」と・・・
彼女のおうちはそういうものを取り扱う商店でした(笑)

特に急な俄雨は大歓迎(^^)
そうです!! 傘がよく売れるから(^^)v

傘を差して自転車に乗ってはいけないという規則が出来てから
合羽がよく売れるようになったそうです。

今また、自転車の規則を厳しくしている取り締まりの様子を
テレビでよく見かけますが、これはとても良いことだと思います。

車を運転する側から見ていると、とても危険な自転車走行を
する人が多いことに気付きます。

今取り締まっているのは信号を守らない人!!

私も先日ヒヤッとしたことがありました。

小さい路地から国道へ出る交差点で信号待ちをしていました。
青信号になり、進もうとした瞬間、建物の陰から
自転車に乗った高校生が飛び出して来たのです!!
自転車の完全なる信号無視です。
私が必死で急ブレーキを踏み、その男の子も除けたので
事無きを得ましたが、一瞬ドキッとしました。

時々、人々は錯覚しているのではないかと思います。
信号機は車に乗っている人の為にあるものと・・・

せめて、ちょっとだけ頭を下げるとかして、ごめんなさいの
意思表示して行ってくれたらよかったのですが、彼はそのまま
何事も無かったように走り去って行ったのが残念でした。

ちょっと怖いおじさんなら「あぶないやろ!!」と叫ぶ場面です。
私もそんな心境でした。

どんな無謀な自転車走行者でも、もし事故になれば
悪いのは車となる現在の規則です。

その時、助手席に乗っていた人が言いました。
「今の男の子は、彼の持ってる運を使い果たしちゃったかもね」と

その人は更に言いました。
人の持っている幸運には限りがあると・・・
あの子は持っている幸運を今殆ど使ってしまったかも・・・
もっとこれから運を必要とする時が来るだろうに、勿体ない と

ひとりひとりが持っている幸運の数は5個なのか10個なのか
私も知りません。
でも、たいせつな「運」です。
ここぞという時に使いたいですね!!

皆さんも自分の持っている「運」を大切にしてくださいね(^^)

そして、交通ルールを守りましょう。
誰のためでもなく、自分自身の身を守るために・・・

雨が降れば、傘や長靴や合羽が売れる・・・
珈琲が飲みたくなる日・・・は どんな日なのでしょう?!

雨でも晴れでも吹野の珈琲飲みたくなってくださーい(^^)

小さな嘘

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開店当初からのお客様が自宅のお庭に咲いた淡いピンク色の
薔薇を沢山抱えて持って来てれました。
その香りがまたとても柔らかく甘い香りで、
持って来てくれたその人そのもの・・・といった芳香でした。
短く刈られたその蔓薔薇をサラダボールのようなガラスの器に
水に浮かべるように活けて飾りました。

その薔薇の香りと珈琲の香りに包まれながら彼女が話し始めました。

「この間ね、長男が伊勢神宮に参拝に行ったんだって
 それでお土産を買って宅急便で送ったからってメールが来てね
 何が来るかとたのしみにして待ってたらなんと・・・
 檜の表札が送られて来たの(笑)」

何故表札?!    と私は思いました。

その私の疑問を勿論彼女はわかっていて、話を続けました。

「それがね・・・長男が小学生の頃に友達が遊びに来て
 楽しく遊んで帰った後、玄関の表札が傷ついていることに気付いたの。
 どうしてこんな傷がついたんだろう?と思ってたら長男が
 お友達のAくんがやったんだって遊びに来ていた友達の名前を
 言ったのよ。
 
 そんな悪戯するような子じゃないのにな・・・と思いながら
 傷ついた表札はその時から外され、なんとなく新しい表札を取り付けるでもなく
 それ以来ずっと我が家には表札が無いままだったの(笑)」

きっと長男くんは、そのことがずっと気にかかっていたんだろうと思われます。

お伊勢さんで偶々見つけた表札に、ずっと心の片隅にあったものを思い出し
実家の玄関にこの表札取り付けて貰いたいと思ったのではないだろうか?

私もそのご長男を幼いころから見知っており、時折ひとりで吹野に
来たりもしていたその子の胸の内、察して余りあるものがありました。

すると彼女が「まだこの話には続きがあるのよ」と言います。

「実はね、あの時表札を傷つけたのはAくんじゃなくて息子だったんだって!!」

話の新たなる展開にまたまたじぇじぇじぇ!!です

その話を知ると、彼の心の中は更に複雑なことになってしまいます。
Aくんに罪を被せてしまったことと、その為に両親がAくんに対して感じたこと
それはすべて自分の小さな嘘から発生したことだということにずっと幼い心を
痛め続けていたのではないだろうか?!

だからといって、真実を明かすタイミングも見つけられず、きっとAくんの顔を
見るたびに、そのことが頭を過り、濡れ衣を着せたままになっていることにも
心を痛めていたのではないだろうか?!

今年は出雲大社の遷宮と伊勢神宮の遷宮が重なる年です。
その遷宮で葺き替えられるお社の屋根の材料となるのが
檜皮(ひわだ)と呼ばれる檜の皮です。

伊勢神宮と出雲大社の屋根が新しくなったと同じ年に
その家の表札も長男くんの粋な計らいで新しくなりました(^^)v


彼の心の中も色んな思いが一掃され清々しくなったのではないでしょうか?!

先日、出雲大社を参拝した折に六十年前の檜皮の一片を戴きました。
御修造により葺き替えられた時の古い檜皮です。
六十年間お社を守り続けた屋根の一部です。
とても貴重なものを戴いたと思い大切にしています。

彼女にもその表札はとても大切なものになるのではないでしょうか

全国的に梅雨入りしましたが、雨は降らず晴天が続いています。
ありがたいことですが、水不足が心配になってきますね。
来週あたりから気温が上がりそうです。
みなさんどうぞお身体大切にお過ごし下さい(^^)

日御碕灯台

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北緯 35度26分02秒
東経 132度37分45秒

光度 48万カンデラ

光達距離 21.0海里

高さ 地上から灯火まで  39メートル
   水面上から灯火まで 63メートル


これは明治36年4月1日に初点灯された日御碕灯台です。

出雲大社から国引きで知られる稲佐の浜を過ぎ更に北へと
海沿いに車で15分走ると岬の突端に真っ白な美しい灯台が姿を現します。

子供のころ訪れたことはあると思うのだけれど
あまり記憶に残っていないこの灯台を改めて見てみたくなり
先日行って来たのですが「東洋一」と言われるのは御尤もと!!
凛としたその姿に思わず息をのみました。

84歳にして無謀にも、その天辺に登りたいという母と
高所恐怖症で尻込みする姉と三人で
630段の螺旋階段を登って来ましたよ(^^)v

上からの眺めも爽快!!、勿論姉は展望デッキには出ず、
母は恐る恐る出て感嘆の声をあげていました。

その日本一高い灯台が間近に見える岬の突端に
『出雲ひのみさきの宿ふじ』があります。

全室オーシャンブューという触れ込みに誘われ宿泊したのですが、
食事も地元の漁師さんたちの新鮮な魚介類や和牛、野菜も米も
みんな地産地消で、とても美味しいのです!!

更にお奨めなのが「展望風呂」です(^^)v
岬の突端の突き出した岩の上に露天風呂があると想像してください!!
目の前180度は日本海、そこから吹く風の心地よいこと(^^)
海猫の産卵、繁殖地として名高い経島から飛んでくる海猫の声を
聞きながら、ゆったりとお湯に浸かりのんびりさせてもらいました。

お客様とそんな話をしていると、その日初めていらしたお客様が
「突然すいませんが・・・」とお声をかけて来られました。

福岡から気ままな旅に出掛けて来たという御夫婦でした。

今話していた宿に今夜泊まりたいから、紹介してくださいと!!

勿論喜んでご紹介したのですが、生憎満室・・・
それではと、もう一軒のお奨め湯の川温泉の「草庵」を
紹介したのですが、こちらも残念ながら満室・・・

そう、今島根県は出雲大社の60年ぶりの大遷宮に湧き
全国から観光客が押し寄せているのです。

「私たち、いつもこんな行き当たりばったりの旅ですから仕方ないです」
とこんなことには慣れっこだと笑っていらっしゃるお二人のためにと
やっと空いている宿を探し出し愉しい旅を続けて下さいと送り出し
ほっとしました。

お二人も明日は目的地の出雲大社へお参りとのことでした(^^)

また今度いらした時は日御碕の宿にお泊り戴き
すぐそばの日御碕神社にもお参りして戴きたいものです。
天照大御神と素戔嗚尊の二神が祀られる由緒ある神社です。

福岡からのお客様、奥様の方はその日二度目のご来店でした(笑)
お昼に一人で、ニコニコ顔で入って来られ私も初めてのお客様なのに
ずっと以前から知っている人と錯覚するほどでした。

「お昼に来た時、すっごくいい店を見つけた!!と思って嬉しくて
ニコニコしていたんです。私旅に出て素敵なお店見つけるの得意なんです」
と仰り、自宅近くにあったら私毎日来るわ!!と二度目に来られた夕刻に
とても嬉しそうに話して下さいました。

最悪宿が無いときは車の中で寝たこともあると愉しそうに仰るお二人。
これからもご主人との気まま旅、楽しんで戴きたいですね(^^)

 

 


 

慌てん坊

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その日の朝の準備に新聞をホッチキスで閉じる作業をしていると、
入口に人の気配がしたので、いつものご常連の方かと顔を向けると、
そうではなく若い男の子が二人入って来ました。

私が「いらっしゃいませ」と声をかけると先に入って来た方の男の子が
人懐っこい感じで左手でピースサインをするのです。
親しい人なのかもしれないが思い出せない・・・誰なのかわかりません。
取り敢えず「どうぞ」と笑顔で誤魔化し、コップに水を注ぎながら
思考回路を巡らせますが誰だかわかりません。
そこで、ハタと気付きました!!
あれはピースサインではなく「二人です」という意味のサインだったことに!!

気付くともう可笑しくてひとり吹き出していました。

勘違いとは面白いものですね(笑)

でも実は、全く知らない人ではないことがお会計の時にわかりました(笑)

これが一つ目の笑い話・・・

その日もう一つ笑い話がありました。

閉店後近くのスーパーへ電池を買いに出かけた時のことです。

そのスーパーは地下の食料品売り場に電池も置いてあり、
わざわざ上階の電気売り場まで行かなくても食料品と一緒に購入できて
とても便利です(^^)v

ですが、その日は何も必要な食料品がありませんでした。
けれど、電池だけ購入するのも・・・と思いついでに米子市指定ゴミ袋を
一緒に買っておこうと、その二つを持ちレジに並びました。

レジのお嬢さんに金額を言われ、はっと慌てました。
財布がありません!!

私は店の鍵とエコ袋だけを持ちいそいそとやって来ていました!!

「ごめんなさい!! お財布忘れて来ました。取りに帰って来ますね」
そうお嬢さんに謝り、笑いをこらえながら店まで走り、
いつも買い物の時に持参する赤い小銭入れを手に取り再びスーパーへ。

息せき切って同じレジに行き、笑いで誤魔化しながら支払おうと
財布を開けると じぇじぇじぇじぇ!!
お金が30円足りません!!!

急いでいたので中身も確認せずただいつもの財布をつかみ走った
私が軽率でした・・・

再びお嬢さんに謝らなければなりません。
「ごめんなさい・・・ゴミ袋やめて電池だけにしてもらっていいですか?」

優しいお嬢さんは言いました。「はい、いいですよ」と笑顔で・・・

でも内心はとってもお腹立ちだったかもしれません。
けれどそこは客商売です。
三度もレジを打ち直させられたのですから腹が立たないわけがない・・・
それでも笑顔でレシートと電池を差し出し「ありがとうございました」と
言ってくれました。

こんな失敗初めてです!!

嘗て、若かりし頃なら、こんな恥ずかしいことしたら
もう二度とそのスーパーには恥ずかしくて行けない!!
なーんて思ったことでしょう。
でも今はそんなこと思いません。
おばさん になったから です(笑)

またこれからもそのスーパーへ通います(^^)

ただあのレジのお嬢さんには、しっかり憶えられちゃったことでしょうね(笑)

そんなドタバタの一日のご報告でした(大笑い)