いつもはご主人といっしょにおみえになる御婦人が、
その日は珍しく、ひとりでお出でになりカウンター席へお掛けになりました。
「今日はひとりなんですよ~」優しい笑顔で仰り、
珈琲を飲みながら、雑誌「サライ」の京都の紅葉の写真をご覧になっていました。
暫くして雑誌を見終えたご婦人は、
「今日は絶対吹野さんにひとりで行って、ゆっくり珈琲を戴こうと思ったの(笑顔)」
と仰いました。
「このところずっと忙しくって、何だか凄く疲れたな~って今朝思ったの!
だから今日は絶対ひとりで静かにゆっくり吹野さんの珈琲が飲みたいって思ったの!!」と
そんなふうに吹野を「安らぐ処」と、こころに留めて戴いている、ということが、
とても嬉しかったです。
と同時に、その期待を裏切らないようにしなければと気を引き締めました。
そして、雑誌を閉じると、唐突に「映画、観ましたか~?!」と穏やかに仰いました。
一瞬「何の映画ですか~?!」と訊きそうになりました!!
が、すぐ「あれ!!」だな~☆と気付き、
「ああ~『銀の雨』ですね~☆・・・まだ観てないんですよ~(笑い)」と応えました。
浅田次郎さんの原作の映画化で、米子で撮影が行われ、
全国に先駆けて今米子で上映が始まった中村獅童さん主演の映画です。
やはり、自分たちの住んでいる町並みがスクリーンに映し出されるとなったら、
みなさん愉しみに観に行かれるのではないでしょうか?!
米子駅前で、お店を営んでいらっしゃるご婦人のことです、もしや?!と思い、
「映画の撮影風景など、ご覧になったんじゃないですか~?!」と訪ねてみると、
やはり! 米子駅に到着した中村獅童さんが駅構内から出てくるシーンを
ご覧になったそうでした。
お天気の日に「雨のシーン」だったらしく、
スタッフの方々がホースで雨を降らせていらっしゃったそうで、
「映画の撮影も、裏方さん達は大変ね~(笑い)」と
感心していらっしゃいました。
そんな舞台裏が見れるのも、地元の人の愉しみのひとつかもしれませんね~♪♪
これから暫くは「映画観ましたか~?!」は「銀色の雨」と思いましょう(笑い)
昨日は急に気温が下がり、大山も雪化粧しました。
北海道も昨年より3日早い積雪との報道がありました。
寒くなると温かい食べ物が欲しくなりますね~☆
と言う訳で、吹野の「セット」が冬バージョンになりました☆☆
夏の間は「トマトのサラダ」がシンプルなのに
ドレッシングが美味しいと好評を戴いた「本日のセット」でした。
あまりに好評で、これを凌ぐメニューを考えるのに頭を悩ませましたが、
やっと、これぞという一品を完成しました。
野菜たっぷりの「ミネストローネ」です!!
料理研究家の辰巳芳子さんの「命のスープ」を参考に試行錯誤して
温かく、ヘルシーなスープに仕上げました☆
辰巳先生のように、「出汁を引く」ところまでは徹底できませんが、
地元の野菜を使った「地産地消」で、
こころもからだも温まって戴きたいと、丁寧に蒸し煮しています。
昨日も、寒さに冷えた身体に温かいミネストローネは、
みなさんに喜んで戴きました♪
「軽い食事が出来たらいいな~」というご要望にお応えし、
6月頃から始めた「本日のセット」
11月からは、温かいスープとメニューの中からお好きなトーストを選んで戴き、
珈琲と自家製カスピ海ヨーグルト付で1000円です!!
心を込めた食物繊維たっぷりのヘルシースープで
皆さんのお越しをお待ちしています♪☆
今朝は、お日様が顔を出しましたが、
気温はまだ低く寒い一日になりそうです。
どうぞみなさん、風邪など引かれませんように温かくしてお過ごし下さい。
きょうも一日お元気で~☆☆
いつもおひとりでお出で下さるKさんが、
お友達と一緒にいらして下さいました。
おひとりの時はいつもボックス席へお掛けになるのですが、
「今日はこっちへ座らせてもらおう~♪」とカウンターへお掛けになりました。
Kさんは、いつも面白く昔話をして下さいます。
その日もお友達とご一緒に聴かせて戴きました。
以前に聴いたことのある話でも、また笑えるから不思議です~♪
貧乏下宿時代の話は「定番」ですが、
その日はポンコツ車の話が愉しかったですね~♪
それはそれは古い車で、整備のしようもない廃車同然の車を
いつも恐る恐る走らせていて、坂道になると、運転手以外は降りて押すのは当然のことで、
時には、坂道でもない平坦な道でも、急に動かなくなる時があったそうです。
その日もいつものように仲間数人でドライブしていると、急に止まってしまい、
電話で修理してくれる人を呼び、みてもらったそうです。
ボンネットを開け、応急処置をしてくれたあと、その人が、
「とりあえず走るようにしておきましたが、絶対途中で止まらないで、
ノンストップで帰って下さいね。もし途中で止まると、
それきり動かなくなりますからね!」と言われたのだそうです!!(笑い)
もちろん、その後は、信号でも止まりません。
交差点でも止まりません。
ただひたすら走り続け、同乗者がそれぞれ降りたい場所に近づいたら、
スピードを緩めるから、飛び降りろ!!ということになったのだそうです(笑い)
40年以上も前の話です。
今では考えられない話ですが、当時はそういう事ができた、
古き良き時代だったのです。
聴きながら「危険!!」などと思うより先に、
そのKさん達が飛び降り、転がる姿を想像して、笑ってしまうのです♪
なんだか、とっても愉しそうじゃありませんか~☆
お給料は、出たその日に全部夜の街で使ってしまう、
そんな無茶が出来た若い頃があったから、
定年退職後の今、こんないい笑顔で、お友達と珈琲を飲みながら
「懐かしい青春時代」を語れるのではないでしょうか☆
これからも時々、そんな「無茶したあの頃」の話を聴かせて戴きたいですね♪
Kさん、これからも益々お元気で、人生を謳歌して下さいね♪☆
「おねえさん、この本読んでみませんか?!」と、
熱い珈琲カップを両手で包み慈しむように飲んだ後
和美さんが差し出した本は「珈琲屋の人々」という
双葉社から出版されている、池永陽さんという方の本でした。
その題名に惹かれ、お借りして読み始めました。
物語の中の珈琲屋は木造で、
お客はいつもカウンターにひとりとボックス席に数人という静けさ、
火傷しそうに熱々の珈琲が供されるところが
「吹野」に似ている・・・と感じました。
きっと和美さんもそんなところに「吹野」と重なる物を感じ
私に読んでみないかと奨めてくれたのではないかと思いました。
違うのは「吹野」はぺーパードリップ、文中ではサイフォンというところと、
そして何より「マスター」が過去に人を殺めた事がある男という、
重い過去を背負った人であるというところでした。
7年の刑を終えた主人公行介が、
商店街の中にある、父から譲り受け営む珈琲屋に
日々訪れる人々が織り成す人間模様が描かれています。
その商店街の住人であり行介と幼馴染の友が二人・・・
ひとりは洋品店を継いでいる気の置けない男友達、
もうひとりは蕎麦屋の娘で、行介をずっと想い続けている冬子。
行介の淹れた珈琲をカウンターに座って飲む冬子の
お互い口には出せずにいる想いが、
珈琲の香りと共に店の中に漂っているのが切なく読み取れます。
高校二年の若さで自らの命を絶ってしまった事件の犠牲者の女の子と、
その女の子への想いを胸に苦しみながら生きている男の子など、
それぞれが、色々な想いを抱えて珈琲屋にやって来る物語ですが、
その男の子の父親が、親父として息子に語る言葉や
行介が殺めてしまった男の、残された妻や子に対する行介の「誠意」など、
胸打たれることも多く、映画やドラマにしても素晴らしい作品になるのでは・・・
と思える、読む者の心に問いかけるもののある作品でした。
読み終えたあとには、温かな余韻が残りました。
「珈琲屋吹野」の28年の日々の中でも、沢山の物語が生まれました。
和美さんも、そんなことを想いながらこの本に触れ、
そして私に奨めてくれたんだと思います。
和美さん、素敵な「物語」をありがとう☆
そして、これからもカウンター越しに、温かい珈琲を飲みながら、
いろいろな「お話」をしましょう☆
さて今日はどんな物語に出会えるでしょうか~♪♪
先日、奥出雲からの帰路、「須我神社」へ立ち寄り、参拝してきました。
出雲国神仏霊場第十六番の日本初之宮という由緒ある神社です。
御祭神は「須佐之男命」
「奇稲田比売命」
「清之湯山主三名狭漏彦八島野命」(須佐之男命と奇稲田比売命の御子神)の三神。
須我神社は、この地方の総氏神として信仰されており、また、須我山の山懐には、
巨岩夫婦岩があり、磐座(いわくら)として祭祀信仰されています。
古事記にあるあの有名な御歌、
『八雲立つ 出雲八重垣 つまごみに 八重垣つくる 其の八重垣を」
と、須佐之男命が御詠みになったといわれる日本初之宮なのです。
そして、ここが三十一文字和歌発祥の地であり、この御歌の「出雲」が
出雲の国名の紀元でもあります。
こういう処へ足を踏み入れると、背筋がすっと伸び、
何となく心も身体も浄化されるような気がします。
十月は「神無月」といいますが、ここ出雲だけは「神在月」といいます。
全国の神様が、出雲にお集まりになるといわれています。
そういう時の出雲はまた霊験あらたかな気がします。
残念ながら、神社より2キロほど奥にある、磐座にまで
足を伸ばす事叶いませんでした。
いつかまた、訪ねたいと思っています。
時々こういう心洗われるところへ出かけ
悠久の時に思いを馳せてみるのも大切な事だと、私は思っています。
すると翌日からまた新たな気持ちで、仕事が出来るような気がします。
秋空に樹齢何百年かと思われる杉の巨木が静かに立っていました。