ふりむけば猫

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先週の休日に、倉吉へ行って来ました。


目的は、岩合光昭氏の写真展「ふりむけば猫」を観る事。
もう一つは、清水庵で、餅しゃぶを食すこと!!


お昼過ぎに到着、まずは腹ごしらえにと清水庵へ向かいました。
ここの、トロトロに蕩ける、薄く切られたお餅が大好きで、倉吉へ来ると、必ずと言っていい程ここへ立ち寄ります。


古い町屋のその建物もお気に入り!!なのです。


この日は、写真展のせいか、はた亦観光シーズンのせいなのか、超満員で、順番待ちをしている人までいる。


たまたま、運良く丁度お帰りになる方があり、私たちはすぐに座敷へ通されたのですが、その後も、続々おみえになり、庵の方はてんてこ舞いでした。


腹ペコの私たちのもとへ、漸く餅しゃぶセットが運ばれてきた時は、思わず拍手してしまい、「こんなにお待たせしてるのに拍手で迎えられたのは初めてです!有り難うございます~!!」とスタッフの女性に恐縮されてしまいました。


相変わらず美味!!


繁盛すると、味が落ちる!という哀しいお店があったりしますが、お出汁も変わらぬ美味しさで、早速お餅をしゃぶしゃぶと2~3回鍋の中で揺らすと、もうトロトロになるのをそっと、素早く口へ運ぶと、餅好きには堪らない食感が広がります。


食後にと注文していた橡餅ぜんざいも、呼び鈴を押して下さい、と言われていたもののお忙しそうなので、お手隙になるのを待とうと思い様子を窺っていると、それと気付いたスタッフの方が「そろそろお持ちしましょうか?!」と気配り。

すぐにアツアツのぜんざいが、笑顔と共に運ばれて来ました。


偶然そこで写真展の前売券もゲット!!それも、前売券を購入すると、お食事代も割引になるという思わぬオマケ付きで!!


そこからは、歩いて赤瓦の写真展会場へ。


アートハウス夢扉と赤瓦一号館ギャラリーの二箇所で開催されていて、まず赤瓦一号館へ・・・
入り口の床には猫の足跡シールが会場内へと向かってペタペタと続いているという細かなアイデアも!


写真は、日本海新聞等で紹介されている通り、猫がいっぱい!!です。
ふと、どこかの路地に足を踏み入れた時、何気なく見かける風景。


人間の暮らしの中に溶け込んで普通に暮らしている猫たちが、自然に表現されていました。


岩合さんは、猫だけでなく、タンザニア・セケンゲティ国立公園で野生動物を撮影され、「ナショナルジオグラシック」などにも特集されていらっしゃる、世界的に著名な写真家です。


岩合さんが、どれだけ動物がお好きか、猫たちの表情を見ると解かります!!
よく、これだけのショットを、野良猫が撮らせてくれたな~!と感心するばかり!!


自然な猫の仕草に心が和みました。


みなさんも是非出かけて見て下さい。
記念に購入した、フォトポストカードや、ファイルケースを入れてくれた袋は、新聞の折込チラシを再利用したもので、「エコ」も感じられました。

 
写真展のチケットを提示すれば、その他の赤瓦各店で色々なサービスが受けられます。
町全体で、この写真展を盛り上げようという意気込みが感じられ、素晴らしいと思いました。


猫派、犬派とあるようですが、私はどちらも好きです。特に仔猫、仔犬!!
あなたは、どちら派?!

 

 

新婚旅行?!

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あれは、いつのことだったろうかと、古い日記を開き探してみると、
それは、2006年の10月29日のページに綴られていました。


いつもと変わらない朝を迎え、いつものように開店準備を終えた頃。
一組の男女がおみえになりました。


女性は見覚えのあるお顔でした。
お冷やの用意をしながら思い巡らしてみると、すぐにもう少し幼い顔の彼女が浮かび上がってきました。


5~6年前になります。
まだ、彼女が医学生だった頃、よくご両親と一緒に来てくれていました。


毎週末のように、ご両親が東京から娘に会いに来ていらして、そして、午後のひと時を珈琲屋吹野で寛いで戴いていたのでした。


オトナシイお嬢さんと物静かなお父さん。
お母さんも静かな方でしたが、そんな事情を話して下さったのは、お母さんでした。


とても、仲の良いご家族で、いつも微笑ましく思っていた事を憶えています。
そして、卒業の春、お母さんが「これで、ここへ来る事がなくなると思うと、とっても淋しいです。
米子へ来て、ここへお邪魔するのが愉しみでした。ありがとうございました。お元気で!!」と言い残し、米子を後にされたのが、ついこの間のように、甦って来ました。


思えば、その頃お話するのは、専(もっぱ)らお母様で、彼女と話した事は無いような気がしました。


その彼女が、口を開きました。
「この度、結婚しました。主人です!!」と、テレながら隣の男性を紹介してくれました。


「おめでとうございます!!」と思わず歓声を上げると、ご主人が徐(おもむろ)に、
「実は、これが僕たちの新婚旅行なんです!!
彼女に、どこに行きたいかと尋ねたら、米子に行きたい!!って言うんです。それで今、米子空港に着いて、まず行きたいところがあるから!と言われて、連れてこられたのが、ここでした!!」と・・・
迂闊にも、涙が出てしまいました。


青春時代、学生時代を過ごした「米子」を新婚旅行先に選んでくれただけでも、とても嬉しいのに、更に、まず一番に吹野に行きたいと言ってくれたことが嬉しくて、胸がいっぱいになりました。


在学中の数年間、何をして差し上げたわけでもありません。
それこそ、言葉を交わしたわけでもないのに、吹野を想い続けていてくれたことが、とても嬉しく、
感激しました。


それから、「お店の中の写真撮らせて戴いていいですか?!」と、二人で嬉しそうにあちこちにレンズを向けシャッターを切ると、「すいません、一緒に撮らせて戴けませんか?!」というお言葉に、彼女と並んで、記念の一枚をご主人に撮って戴きました。


今度は私が申し出て、お二人の新婚ホヤホヤの記念写真を数枚撮らせて戴きました。


「両親にも、吹野さんの写真を必ず撮って来るようにと頼まれました。
この写真が両親への一番のお土産になると思います。いつも吹野さんの話をしていて、亦行きたいね~!と、話してたんですよ!!」
という彼女の言葉に、胸を熱くしながら、その時私の瞼の裏には、はっきりとご両親の顔が浮かんでいました。


次は、大学のキャンパスへ行ってみます。と、仲良く出掛けて行きました。
きっと、そこでも、懐かしい人々との再会があったことでしょう。


清々しい風が吹いていました。


どうぞ、ふたりがいついつまでも し あ わ せ でありますように・・・


ご両親は「吹野」の写真を喜んで下さったでしょうか?!
また、いつか、みなさん一緒に来て下さると嬉しいですね!
その時は、彼女の腕の中に幼子がいたりして・・・
また、孫が増えますね!!!

 

 

縁の糸

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♪ 袖擦り合うも多少の縁


 古(いにしえ)からの伝え通り


 この世で出会う 人とはすべて


 見えぬ糸で 繋がっている


 天が描いた シナリオに沿い


 あなたと私 知り合うの


 時に愛して 時には泣いて


 やがて かたい絆へと・・・


 どんなに細い 縁(えにし)の糸も


     物語 運んで来る  ♪♪♪

 

この秋から始まったNHK朝の連続ドラマで、松江を舞台にした「だんだん」の主題歌の歌詞です。


神話の国、出雲で生まれ育った 竹内まりやさんだからこその歌詞ではないかと思います。


私も、この世で出会う すべての人とは、見えない糸で繋がっている と、思っていて、もっと言えば、前世で関わりのあった人達 だと思っているんです。


もちろん「前世」はある!と思っている派 です。


珈琲屋吹野という「場」を借りて、出会えた多くの方がいらっしゃいます。


その中で、深く関わっていく方があり、そういう方々との「縁」をいつも感じています。
この人と出会えて心から良かった、と思える人もありますが、中には、なぜこの人と??という方もあります。


それは、「きっとこの方には、前世でとてもお世話になったのだろう。だから今生で、そのご恩返しをさせて貰うんだ」と、勝手にそんなふうに思って、お付き合いさせて戴いています。


そんなふうに考えてみると、人との出会いや、関わりが、とても興味深いものになっていきます。


だってそうでしょう!!


普通に暮らしていたら、出会いそうも無い、何の接点も無い人と出会い、心を許しあえる存在へと導かれていくのですよ!!


幸せな事に、吹野へは、全国から、旅の情報誌や、このようなネットを見て、訪ねて来て下さる方がいらっしゃいます。


遠くは、北海道の旭川からも、二度もご来訪戴きました。


この旭川の森田さんという方には、「僕は、喫茶店はその地の文化を表すものだと思っています。
米子に吹野がある。米子の文化を担っていると思って頑張って下さい!!」
と、こんな光栄な言葉を戴きました。


いつも、この言葉を胸に、今日も笑顔で、皆様をお迎えし、また、新しい出会いに心躍らせています。

 

  

 

日日是好日

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昼下がり、店の前に自転車が止まる。


降りた青年が、珈琲屋吹野の扉を押し入って来る。


「いらっしゃいませ~」と言いながら、ん~!見覚えのあるお顔~?!と内心思う。


注文戴いたアイスコーヒーをお持ちすると、「10年振りに来ました~!」と恥ずかしそうに微笑む。


「ですよね~!見覚えあるお顔だな~と思ってました!!」と言うと、「あ~憶えていて下さいましたか~!!」と頭を掻く。


「学生の頃よく来てたんですけど、仕事が遠くになったのでずっと来れなかったんですけど、今度転勤でこっちになったもんで、ちょっと仕事サボって来ちゃいました!!」と。


それから静かにコーヒーを口へ運びながら、感慨深そうに煙草に火をつけ、椅子に体を委ね目を閉じ、久し振りの吹野を愉しんで下さっているようでした。


最後のひと口を飲み干すと、席を立ちレジに。
「久し振りの珈琲のお味は如何でしたか?!10年前と変わっていませんでしたでしょうか?!」と、おどけてお尋ねすると「変わらず美味しかったっす!祈願が叶いました!!」と。          

そして、「10年前、いっつもここで勉強させてもらってました。お蔭で資格が取れて、今の仕事に就けました」なんて嬉しい事を言ってくれました。


「そうですか~!お役に立ててよかったです!!」


誰かの人生の中で、ほんの少しでもお役に立てるということは、何より幸せです。


こういう事があるから、私も頑張れるのです。


かつては、学生さん達がここで勉強している姿をよく見かけたものでした。


「これから、また時々寄らせてもらいます!!」と言い残し、自転車は秋風の中を走り去って行きました。


10年の月日が、彼を大人にし、私の皺を増やしました!!

 


 

「ネコヤナギ」のお話

 

 

昨日の閉店前最後のお客様は・・・・・


「こんにちわ~!」っと元気に入って来たコーチャン でした。


まだベビーカーに乗って「バブバブ~」と言っていたコーチャンが、今はもう4歳です!!


今日は、お母さんとぬいぐるみ人形劇「天のたまご」を観て来た帰りだということでした。


「どんなお話か教えてあげようか~」とコーチャンが笑顔で言います。


「うん、教えて~」と私が言うと、「えっとね~え~とね~」と一生懸命に言葉を探します。


私は、辛抱強く待ちます。

子供が話をしようとする気持ちを大切にしたいからです。


おとなになってから、大切な事は、お勉強がデキる、ということではなく、人とコミュニケーションがとれることと、人の痛みがわかる優しい心をもっていることだと、私は思っています。


だから、珈琲屋吹野に来る子供たちの話は、どんな話でも、耳を傾けることにしています。


「あのね~アメンボウがねぇ~・・・・・」とようやく話が始まります。


するとお母さんが「アメンボウじゃなくて、アコヤ貝でしょ~」と。
そこから、たまごが生まれて、サメやクジラをやっつけて、戦う!のだと、コーチャンは、必死に話してくれます。と、また「ネコヤナギがね~」と新しい名前が出てきます。


「???ネコヤナギ~?? アコヤ貝じゃなかったっけ~!!」と私が言うと、「あっ、そうそう、アコヤ貝がねぇ~」と笑いながら続きが始まります。


アコヤガイとネコヤナギ!!言われてみれば、よく似てますよね~!!


可笑しくて噴き出してしまいました。でもコーチャンは愉しかった人形劇のことを伝えたくて一生懸命なのです。


本当に可愛いんです!!


そして、話の途中、急に「お母さん、抱っこして!!」とお母さんの膝にちょこんと座ります。


それも、ほんの1分足らずです。


もうそれで満足して、お話に夢中になります。


それには、訳がありました。


普段は、今年生まれた弟に、その膝を奪われているのだそうです。


だから、今がチャンス!!と気付き、ちょっとだけ甘えてみたのです。


4歳だって、まだお母さんの膝は恋しいのです!!


男の子なのに、この子はホントおしゃべりで~!!とお母さんは困った顔をしましたが、私は、男の子だろうと、女の子だろうと、誰とでもお話できるということは素晴らしい事だから、そんなこと言わないで、お話聴いてあげてね!!と、お母さんにお願いしました。


この次は、ゴレンジャーの靴を見せてくれるのだそうです。


愉しみですね~!!


孫の成長を見守るおばあちゃんの気分!!でした。