ラッキーボーイ!!

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8月の中旬だったと思います。一人の青年が入って来ました。
リュックを背負い、カメラを手にしていたので、すぐに旅人と判ります。


「こんにちわ!!」と人懐っこい笑顔で、店内を見回しながら歩みを進めると、カウンターの中程で立ち止まると、そこに飾られている写真を、嬉しそうに見ています。


そこには、丁度今朝入れ替えた、島根県浜田市の水族館「アクアス」で私が昨年撮った写真がありました。


青年は「これ!アクアスの海月(クラゲ)ですよね~!!」と言いながら嬉しそうに自分のカメラを起動させています。


私も彼が言い当てた事に驚き「そうだけど、どうして?・・・」と眼が点!の私に「ほら~!!」
と彼が差し出したデジカメを見ると、何と!!!私の写真とほぼ同じショットの海月が写っているのです!!


こんなサブライズ、ありますか?!


その海月は青いゴムボールのような形をしていて、水槽の中でフワフワ泳ぐ姿がとても癒されるもので、思わずシャッターを切った一枚でした。


それも、何と、今朝入れ替えたばかり!です。


そこに彼が現れ、「僕も昨日アクアスへ行って、撮って来たんですよ!!」と驚きを隠せないでいました。


もちろんそれからはなしが弾んだのは、言うまでもありません。


東京から、まず山口県に入り、萩、津和野、アクアス(浜田)出雲へと旅して来たと話してくれました。


彼が出雲入りした日は、出雲大社が六十年に一度の遷宮で、普段開かないところを一般公開している期間でした。


それも彼の旅の計画に入っていたのだろうと思い、「良かったね~!貴重なものが見られて!!」と言うと、「実は僕それを知らなかったんです!!」というのです。


知らずに、出雲大社近くのお蕎麦屋さんで入った時にそれを教えられ、それは是非見ておきたいと思い、見てきました!!」


というものの、そう簡単な話ではありません。


何故かと言うと、そこへは正装でなければ入れません。当店に来た時も、短パンにTシャツでした。


旅行者の彼が、まさかリュックの中にスーツを入れているなんてことは有り得ません。


「どうしたの?!」と訊くと、その蕎麦屋さんが、近くにスーツをレンタルしてくれるところがあるからと教えて下さり、無事参拝することが出来たと言うのです。


なんと、ツイてる、ラッキーボーイだろう!!と彼の運の強さを感じました。


この旅が、きっと彼の人生にとって価値あるものになったのではないでしょうか。

 

 

親孝行

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ある晴れた日、店の前に車が止まり、運転席から降りた男性が、助手席のドアを開け、そこに座っている老女を背負うと、吹野のドアへと歩み始めました。


私は慌ててドアへと駆け寄り、内側から扉を開き「いらっしゃいませ!どうぞ~」とご案内し、入り口近くの席を勧めました。


その男性は「ありがとうございます!」と私に礼を言いながら、慣れた様子で、上手に老女を椅子に降ろし、「どうしてもここの珈琲が飲みたいというものですから、連れて来ました~」と優しい笑顔で仰り、老女の希望されたモカを「美味しい~」と言いながら飲んで下さいました。


老女は、もちろんその男性のお母さんでした。


数ヶ月前にお家で転倒され、入院リハビリの後、やっと退院なさったばかりだということでした。


当店の珈琲を気に入って下さり、それからも時々訪れて下さるようになりました。


いつも、お天気の良い日で、お母さんの趣味の写真を撮りに、大山や花回廊などへ行かれた帰りに立ち寄って下さっているようでした。


なんと親孝行な息子さんだろう、と、いつも感心するばかりでした。


車椅子で、という風景はよく見かけますが、背負うという姿はこの頃あまり見かけませんよね。


何だか、車椅子より心が通っているような気がするんですよね。(車椅子には申し訳ないけど!)


でも、背負う人は大変です。体力が相当必要です。

それに、車の乗り降りの時も、一度もお母さんの頭を車にぶつけられたことが無いのです。


私が感心すると「これも慣れ ですから!!」と、笑って仰る。


ある日、お母さんが、こんな不自由な体になってからも、息子があちこち旅行に連れて行ってくれる、と嬉しそうに話して下さり、この間は東京にも行きました。

愉しかったです!と、笑顔。


すると、息子さんが、こっそり私に「もう国内はいいから、今度は外国に行きたい!なんて言うんですよ~!

ひとの苦労も知らないで~」と汗を拭きながら苦笑い(笑)


それは、どれほど大変な旅かは、想像がつきます。

なかなか出来る事ではありません。


でも、この息子さんの優しさには、それまでのお母さんの息子さんに注がれた愛があるからなのではないかと、私は思いました。


 たらちねの母を 背負いて そのあまり 軽きに泣きて 三歩あゆまず


そんな句が、ふと浮かびます。


このところ、姿をお見かけしていません。お元気に旅をしていらっしゃるでしょうか。

 


 

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おめでとう!!

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このところ色々問題の多い相撲会ですが、珈琲屋吹野にも「どちらの部屋の所属ですか?!」

というくらい立派な体格のお客様(山ブーさん)がいらっしゃいます。


いつも可愛い彼女と一緒でした。そして、その体格が示す通り、スィーツが大好きです。


その日は、新メニューの「豆乳プリン」に目ざとく気付いた山ブーさん。


早速ご注文戴きました。


珈琲と豆乳プリンをお出しして暫くした頃、厨房で洗い物をしながらふと顔を上げると、

美味しそうにプリンを食べている山ブーさんと、バチーッ!!と目が合ってしまいました。


なんだかとっても幸せそうな顔だったので、思わず「豆乳プリン、如何ですか?」と問い掛けてしまいました。


すると、山ブーさんは満面の笑みを浮かべて右手の親指を立ててグーサインを力いっぱいに出して

「ヒットです。凄く美味しいです!!」と言ってくれたのです。


思わず私も嬉しくて微笑がえし!!しました。


それから暫く山ブーさんの「マイブーム」は続き、その度に、いつもその満面の笑みを見せてくれました。


その彼が、ある日珍しく一人で現れ、カウンターに座りました。


そして、話し始めました。


いつも一緒に来る彼女のお父さんに、今日これから結婚の申し込みに行くというのです。


彼女とは、高校の時からの付き合いで、お互いが結婚を考え始めてから何年にもなるのに、

なかなかお父さんに会わせてくれなくて・・・。


それは、彼女が父一人娘一人、という境遇ゆえ、父を一人残してお嫁には行けない、という彼女の優しさからでした。


手土産に吹野のケーキを持って、「行ってきます!!」と、自信なさそうに出掛ける山ブーさんに、「頑張って!!」

と声をかけ、送り出しました。


その後、彼女と一緒に現れた山ブーさん、例のグーサインを元気よく突き出し、「吹野のケーキのお蔭です!!」と、

いつもの満面の笑みを輝かせて言いました。


きっと彼の人柄と誠意がお父さんに伝わったことでしょう。


そして今、山ブーさんは、最愛の奥様と、愛娘を連れて、相変わらず幸せそうにスィーツを頬張ってくれています。

どうか、メタボには気を付けて!!


娘もどうやら父のDNAを受け継いでいるような気がして、ちょっと心配かな?!


今、山ブーさんは、最愛の奥さんと愛娘の三人で、吹野に来てくれています。

 

 

ありがとう

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昨日は急に寒くなりました。

コンビニの旗が「冷麺」から「おでん」に替わったことにも季節の移ろいを感じてし

まう今日この頃。

昨日は、めがねルームの八田さんに大変お世話になりました。
パソコン一年生の私に、懇切丁寧に指導して下さった八田さん。
簡単な操作が解らなかったり、同じことを何度も失敗したり、電話での説明は更に大変なのに、
本当に小学生に教えるように根気よく説明して下さいました。


ブログを始めませんか?!と誘って戴いた事にも感謝です。
お蔭で、右も左も何にも解らない私が、こうしてブログに文章を作成出来ているのです。


思えば、これまでの人生の中で、どれだけの人に助けられたでしょう。


多くの人の支えや励ましや、優しさに包まれ、今日まで歩いてきました。


これからも、みなさんに支えられながら、生きていく事でしょう。


本当に人は一人では生きては行けないと、実感しています。


「珈琲、美味しかったです!!」


「素敵なお店ですね!!」


「ここに来たら元気が出ました!!」


「20年振りに来ました。全然変わってなくて嬉しいです!!」


こんなお客様の言葉も、私の大きな心の支えとなっています。


これからも、そんなお声を沢山かけて戴けるよう、頑張ります!!

 

 

米子市角盤町に珈琲屋をオープンして27年になります。

人と関わる仕事をしたいと、5年間のOL生活から2年間の珈琲修行を終え、

一心不乱に走り続けて、気付いたら27年の歳月が流れていた、という感じです。

そんな日々の中で、色々な人との出会いがあり、別れがあり、

様々なお話を珈琲の香りと共に、聴かせていたたいています。

その物語は、時に私を感動させたり、泣かせたり、涙が出るほど笑わせてくれたりします。

そんな話を、ここに綴っていきたいと思っています。

因みに今日は、倉吉からSちゃんが来てくれました。

「吹野が倉吉にあったら毎日来るのになぁ~」なんて嬉しい事を言ってくれる、

とっても可愛い女の子です。

彼女が、今日は珍しく「カップを選ばせてもらってもいいですか?!」なんて言い、

すると、付き合い始めた彼から初めてプレゼントされたカップで、そのカップをくれた翌日、

「ポットに珈琲入れて行くから、昨日のカップ持っておいで!!」というメールが来て、

ご指名のウェツジウッドのストロベリーにブレンド珈琲を淹れました。

公園のベンチで肩を寄せ合い飲んだ思い出のカップなんです、と、頬を染めて話してくれました。

どうかSちゃんの笑顔をずっと守って下さいと、彼にお願いしたいものです。

幸せになって欲しいですね!!

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